「四方山話」 其の十九
1.珠玉の食の深旨 2
2.老婆心独語
□■□ 珠玉の食の深旨 2 □■□
前回の老婆心独語の題の美食短命は、
自分の好きな旨いものばかり食べていたら命は短くなる。
誤食落命は、ちがった食事をしていると命を落とす。の意味である。
何でも、おいしく、バランスよく食べることに尽きる。
ところで、よく食事のあと、爪楊枝を使い歯の隙間に挟まった食べカスをシーシー、ハーハーする光景が見受けられる。
是非は問わないが、この時使用する爪楊枝の最高級が黒文字(クロモジ)である。
昔は樹皮にある黒い斑点を文字に見立てた黒文字(釣樟)を使ったのが始まり。
黒文字は芳香があり、噛むと甘い香りがする。
民間療法として、消炎・鎮痛作用があり、芳香性健胃薬として使われている。
また 浴湯料とし、神経痛・リューマチ・肩こり・腰痛などに効果がある。
歯ぐきが腫れたりしている時に、どうしても爪楊枝を使いたいなら黒文字の方が良い。
食事のあと、だんだんと眠気がさし、生アクビも多くなることがありませんか。
この状態は、食事の消化吸収の為に、血液量が胃に多く集まり、脳への血液量が少なくなり、酸素欠乏になり起こる。
酸素とは、近代栄養学が18世紀後半にイギリスのプリストリーが酸素を発見したことから発展したといわれている。
人間が摂取する食物は体内で燃焼し、エネルギーとなる。
食物の摂取量とエネルギーによって決める栄養学の基礎が出来上がった。
食物には複雑に味があり、大きく分けて、酸・苦・甘・辛・鹹(カン:塩辛い)の五つの味がある。
その他に、淡味・渋味があり、七味という。
しかし、淡味は あっさり、うすい、あわいなどの味ですが、中国では甘味の範囲に入れている。渋味は、酸の変味とされ、作用も似ているため酸味の範囲に入れている。
渋味について、日本では当時茶の伝来の頃、茶の苦味から渋味を見い出したとされている。
中国より伝来した茶にもかかわらず中国人には、それが理解されていなかった。
茶が日本に伝来したのち、日本人特有の「侘び寂び」の考え方によって渋味を知る事になったと推察される。
舌の味蕾(ミライ)と呼ばれる味覚をつかさどる感覚細胞があり、舌の奥の付根に苦味と渋味を感じる部分が重なり合うため、渋味を判断できなかったと思われる。
現代医療的には、舌には渋味を感じる部分は存在せず、渋味はタンニン物質の一群で、舌の粘膜上のタンパク質を変化し、固めた時の刺激とされる。
味覚がより強く感じる舌の部分
日本人は「目」で食べ、中国人は「舌」で食べるといわれるが、繊細な味を見極める力は、日本人には敵わないと自負。
例として、日本料理では、
など、日本料理は味を幅広く捕えている。
舌の強く五味を感じる部分は五臓とつながりのある場所でもある。
これらの部分が、他の舌の色と比べて、表面が変化した状態や色の微妙な違いが起こった時は、その部分に関係した臓器が、病的信号を示していると判断。
舌の上に出来る「苔」は、体の違和感を示すバロメーターとして確認される。
「身体の未来は、味蕾で予知されし」
前述、舌の表面の味蕾の先端に味の刺激を受信する味毛がある。
これらの味毛が集まっている所を味孔と呼び、その周辺には酵素(アルカリホスファターゼ)があり、味覚反応に対して両者の間に立って、間をとりもつ仕事をしている。
この酵素は、ミネラルの中の「亜鉛」によって最良の働きをする。
亜鉛は、体内に於いて伝達組織や酵素と連携作用を維持する。
亜鉛がないと酵素は活動されない為、味覚を感じる機能が欠落し鈍感及び異常になる。
味の異常には、ミネラルを多く摂取し、特に亜鉛を取り、人口甘味料の量を減らす事が必要。
□■□ 老婆心独語 □■□
【 食も過度すれば害悪となす 】
食物の味には、甘い・酸っぱい・辛い・鹹い(シオカライ)・苦いと云う五つがあり、
この五味を均等に摂取することが體(カラダ)を保つとされている。
だが、五味偏勝と云い、五味(食)が偏り、取り過ぎると禍を生ずる とされる。
と説明されている。
他にも飲料水を多く飲み過ぎれば、湿を生じ脾胃を損なう。
肉も野菜でも多く取り過ぎて食べると滞って害が出る。
飲食物の過不足は、腑の病気へとなる。
濃厚な味の物は、陰気を補い大便を通じ、又 淡白な味の物は、陰気を補い小便を通じさせる。
香臭や刺激のある物は、陽気を補い熱を持たせ発汗させる。
何事も程々に嗜むのが道理である。
「 辛味の毒消しは、酸味 又 甘味
酸味の毒消しは、甘味 又 鹹味
甘味の毒消しは、鹹味 又 苦味
鹹味の毒消しは、苦味 又 辛味
苦味の毒消しは、辛味 又 酸味 」