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「四方山話」 其の十二

1.漢方診断法

2.老婆心・独語

□■□ 漢方診断法 □■□

機器を用いない漢方医学での診断療法には、望(ぼう)・聞(ぶん) ・問(もん)・切(せつ)の四種類の感覚を用いた診療を四診法と言い、主観的な判断をする。

思考又は経験的に五官(視覚・嗅覚・聴覚・味覚・触覚)による判断が大切である。検査による西洋医学とは対照的で診断即治療と技能の熟練が必要である。

●望診

望診とは、望見の意味で視診にあたる。
患者の外貌から判断(肉眼で観察)する。

大局的な判定を行うため直観的な認識も含まれる。漢方学の古典に、病の応(病態)は大表(人体の表面)にあらわれると書かれている。

  • 骨格の状態( 歩き方や座った時の姿も観察する)で判断
  • 顔色、皮膚、粘膜の色調で判断
    「色は五臓 気血の外栄(美色が外に栄えること)といい、
    顔色や姿態(動作)」、手、爪の色形及び動きで判定する。
    精神状態も望診で読み取る。
  • 眼、爪甲、毛髪の状態で判断
  • 口唇の色、舌診の色調で判断
  • 大小便などの排出物、分泌物の色で判断

問診によって判断されることが多い。
皮膚の潤沢、乾燥、浮腫などでも判断する。

五色 ※色は五臓気血の外栄という

  • 青 (肝・胆)
  • 赤 (心・小腸)
  • 黄 (脾・胃)
  • 白 (肺・大腸)
  • 黒 (腎・膀胱)

※舌の乾湿や舌苔の有無、厚薄、色調

●聞診

聞診とは、患者の声や呼吸又、息や体の臭いなど耳と鼻を使って判断
聴診、嗅覚による診察も含む。

中国では、聞は鼻で嗅ぐという意味がある。

三芸道(華道、茶道、香道)の一つである香道は室町以来の聞香の伝統であり、香を焚いて薫りを嗅ぐ芸道だが、嗅ぐとはいわず聞くとされる点からも理解されるだろう。

・患者の音声(大小、言語の状態)

五声

  • 呼(よびさけぶ) 肝・胆
  • 笑(わらう)   心・小腸
  • 歌(うたう)   脾・胃
  • 哭(なきさけぶ) 肺・大腸
  • 呻(うなる)   腎・膀胱

・呼吸の状態

  • 短気(息切れ)
  • 小気(話す言葉に力がなく、呼吸が弱々しく短い)
  • 咳嗽(痰及咳がある状態)
  • 喘鳴(喘息して、喉中に痰声がある)

・瞻語(うわごと)、吃逆(しゃっくり)、曖気(おくび、ゲップ)

・胃内の振水音、腹中雷鳴(ゴロゴロ鳴る)

・嗅覚にて認知する。口臭、膿汁、帯下、大小便

五香(体臭、口臭)

  • ○(あぶらくさい)  肝
  • 焦(こげくさい)   心
  • 香(かんばしい)   脾
  • 腥(なまぐさい)   肺
  • 腐(くされくさい)  腎

声の調子、呼吸や咳の状態、吐く息のにおいなど言語音声の変化に注意する。

●問診

問診とは、遺伝関係、生活状態、嗜好や自覚症状を聞いて判断
現代の問診と同じであり、病歴、愁訴(からだの調子の悪いことを訴える)を問う。

・既往症(以前にかかったことの有る病気)

家族歴、現病歴を問う。

病人或いは家族に質問することにより、患者の訴えを聞いて診断する。ただし患者の自覚症状の訴えや病歴を聞くだけではなく、証の決定に必要な体質や病状を質問や会話の中より、病気の原因を探り当てる。
又、精神的症状を取り除き、気持ちを和らげて上げることも必要となる。患者に対して信頼と安心感を与える。

・問診の目標となる症候

■熱

必ずしも体温の上昇を伴ったものとは限らない。寒に対比した語意(意味)であって自覚的な熱感及び他覚的に熱状を伴うものを総状している。
又、裏熱(一般に胃腸の実熱、肺胃の実熱或いは肝胆のうつ熱を示す)という状態のように体表にほとんど熱を感じないものも含む。

・微熱
 体表にあらわれることが微小な熱(裏熱)

・大熱
 体表にあらわれる熱(高い熱の意味ではない)

・往来寒熱
 寒と熱とが交互に往来する状態。
 小腸病の熱(柴胡剤の適応が多い)

・身熱
 全身的な熱感(灼けるような熱感)
 潮熱に似て、全身に熱があるが、潮熱のように一定の時を定めて
 出ることはなく、また発汗を伴うことはない。

・潮熱
 発熱が潮の滞ちてくるように全身に一定の時をもって熱が行き
 わたる。一般に多く午後にあらわれる。

 潮熱の原因に三つある
  体内の陰液が不足して夜に発熱盗汗する(陰虚潮熱)
  陽気が湿邪を受けて抑えられ、午後に発熱する(湿温潮熱)
  熱邪が腸に下結して毎日午後に発熱する(日ホ潮熱)

・悪熱
 熱に堪えられず、苦悩するような熱状

・湿熱
 熱があり、尿利減少している。

・お熱
 裏にうっ積する熱で、黄疸を発する場合も指す

・煩熱
 発熱と同時に胸苦しく感じる。手足が熱っぽくて悩む状態もこれにあたる。
 肝火旺盛(肝の機能が亢進した為にあらわれる熱象或いは衡逆症状をさす)
 陰虚火旺などによって引きおこされる多種の疾患にみられる。

■汗

汗液のことで五液の一つでもあり、津液の代謝産物である。
心血(心臓が主る血のこと)は津液の変化したもので、汗は津液の排泄したものである。

・自汗
 暑さ、厚着、労働に関係なく自然に汗が出ることで表虚の微候。

・無汗
 汗があるべきはずなのに汗のないことで、熱性病で汗が出ない
 など、表実の微候。

・頭汗
 頚部から上だけ汗が出る。

・盗汗
 寝汗ともいう。ねむると汗が出て、目がさめると汗が止む。

・多汗
 自汗に同じく、汗がだまっていても多く出る。

・脱汗、絶汗
 瀕死の状態の多汗。

●五液とは、

  • 泣(涙)    肝
  • 涕(はなみず) 肺
  • 涎(よだれ)  脾
  • 唾(つば)   腎
  • 汗       心

心臓が弱ると汗が出ることが多い。

□■□ 老婆心独語 □■□

【 陰陽・食 極まって福となす 】

森羅万象にわたり、教えは、適切中正で叙述は簡潔平易とされている「魯論語」。

魯論語に 「不時不食」 と記されています。

"時ならざるは食らわず"

の意味は、食物には季節感があり、それぞれ最もおいしい時期があります。
これを旬と呼びます。

真味求心に近づこうとすると、季節感のある天然の食物を、その時期 に食すことが、健康へと導きます。

養生も「論語読みの論読知らず」では困ります。

努力とは 力むことなく 誠を積み 重ねることである

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