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「四方山話」 其の十六

1.切診

2.まとめ:漢方薬とは?

3.老婆心・独語

□■□ 切診 □■□

・切診

脈・胸腹・背・手足など患者に触れてみて判断する。
触診・圧診などを含めたものであって、直接手を下して診察する方法を総称したものである。(中国語の切は接と同じ意味)

切診の中でも脈診と腹診が重要である。

脈の性質と状態を知ることは、交感神経系の緊張状態を血管運動神経を介して測定していると考えることが出来る。

脈診は、医者の右手の人差し指・中指・薬指で患者の左手のトウ骨動脈が拍動している状態を調べる。 (医者の左手で患者の右手も調べる)

人差し指(示指)で寸口、中指で関上、薬指で尺中の部分にあて、軽く押す強弱の点を浮・強く圧迫して血液が通過しずらい点を沈・その中間を中と呼んでいる。

寸口(寸)は頭部・胸部・心・肺を含む上部の病気を判定し、右手の浮は大腸、沈は肺・左手の浮は小腸、沈は心を示す。

関上(関)は横隔膜以下の上腹部、脾・胃・胆などを含む病気を判定し、右手の浮は胃、沈は脾・左手の浮は胆、沈は肝を示す。

尺中(尺)は へそ・下腹部以下、腰部、足、腎・大腸・小腸・膀胱などを含む病気を判定し、右手の浮は三焦、沈は心包・左手の浮は膀胱、沈は腎を示す。

「浮」- 軽く触れるだけで触診できるが、強く圧迫すると消えてしまい、脈の点が浅いと感じられるもので、病気が表在性(表証)であることを示す。

「沈」- 軽く触れると触診できないが、強く圧迫すると知覚できるので、脈の点が深いと感じられるもので、病気が裏在性(裏証)であることを示す。

「遅」- 拍動間隔が長い(拍動数が少ない)、陰、虚の症状。(実証を考える)

「数」- 拍動間隔が短い(拍動数が多い)、内に熱のある症状。

正常な場合の脈拍は、一呼吸の間に四~五で、これが一呼吸間に五回以上の拍動があれば数と称し、三回以下なら遅と称す。
又、拍動に力があれば、実証とし、逆に力がなければ、虚証とみなす。

これら基本的脈「浮(陽)・沈(陰)」「遅(陰)・数(陽)」の四種類に「虚・実」を組み合わせ 陰陽虚実を判定することが出来る。

この脈を祖脈と呼ぶ。
基本的に脈に他の色々な脈診を合わせ、どの経に病があり、病証はどうかを判断する。
他の脈診はここでは省略する。

腹診は、古典にみられるけれども、中国ではそれほど発達しなく、日本で実用化され独特の発展をとげた。
江戸時代以前において、内経系(後世方)の腹診法が発案され、腹診によって臓腑の異常を判定した。

その後、傷寒論系(古方)の腹診法が出来上がり、これは虚実を判定し、さらに特定の腹証を認めることによって、薬方の指示が得られる。

両方とも全くおもむきが違っていた。
現在では、全体的に虚・実を診ること、特定の腹証を認識することが基本となる。

腹診の主な目標は、腹壁の弾力性や緊張度による硬軟・圧痛・胃内停水や腸管の蠕動不良など内部の状態・腹部大動脈の博動亢進の状態と有無・上腹部と下腹部の比較・各臓腑経路の虚実及び胸部の診察も含まれているので、心臓部の動悸や胸部肋間部の状態なども診断する。

近代医学では、腹部内臓器の形状や腫瘍などを触診し、また筋性防御、圧痛点の反応などを確かめるのが主となっている。又、病名は主に病理解部学に基づく。

東洋医学は、望・聞・問・切診の結果を総合し、病状の現れた場所・病気の強弱及び性質・病気に対する抵抗力の強弱などの観点で証を判断する。
いわゆる機能病理学的に証が決定されるのが特徴といえる。

すなわち漢方薬とは、漢方医学的に診察した結果、「傷寒論」「金匱要略」「千金方」「和剤局方」などの書物に記載してある由緒ある処方を選択し、その処方に従って調合し、患者に与えて病気を治療することである。

□■□ まとめ:漢方薬とは? □■□

漢方薬は、漢方医学的診断により、漢方を服用する患者のために薬を選び処方したもので、他の人が服用することは厳重に注意すべきことである。

漢方では

「病人を治すのであって、病気を治すのではない」

という一つの理由が理解出来るであろう。

これに引き換え、民間薬は昔からその地域で次から次へと言い伝えられた経験的家伝薬である。

その材料は身近にある植物や動物で、時には食物そのものも利用されている。
そのものの作用は、烈しいものは極希で、しかも用量や病気が間違っていても危険性の少ないものが使用されている。

また、時代的背景で地域上、医者や薬屋も少なく、経済的にも医療の受け入れが難しいため、一般大衆が自分自身を守るために築き上げた療法である。

民間薬は民衆の生活から生まれ、時代とともに少しづつ発展し、改良されてきた。時代の進歩により民間薬に使われる動植物が研究され、今では科学的にも一部であるば検証され始めている。

民間薬は長い経験から始まり、効くもの効かないものを選択し流行ではなく不易の型で現在に至っている。

しかし、かならずしも合理的とはいえぬものもあり、不合理や迷信的なものもあるが、その中から現代医薬に新しい閃きとなる手がかりが埋もれている。

民間薬が大衆医療として定着した要因には、副作用が少なく、患者の自覚症状のみによって誰でも安心して気軽に簡単に使用出来る。

どちらにしろ使い方の差異があるくらいで、地球からいただいた大自然の恵みに対して感謝し、正しく利用しなければならない。

大自然の恵みを只だと思い無造作に利用していると大変なことになる。
21世紀は癒される時代から癒しの心を持った、やさしさの時代へと覚醒することを切に望む。

萬世長楽

□■□ 老婆心独語 □■□

【 表裏一体が苦楽の極意なり 】

今は亡き、恩師の床の間には、

「萬世長楽」

の掛け軸が古色蒼然と飾られていました。

この世に生まれたからには、人生を久しく、
楽しく過ごすことが大切である意ですが。

我師は、萬世長楽とは、自然界に対する人への教訓であるという。

永遠に続く大自然、そこから頂く恵みを利用しているのが人間です。
だが、人間の有るまじき行為により、いつかは自然の恵みも消失することでしょう。

それを踏まえて、今度は人間が自然を守り、奉仕する時かもしれません。
いわば加療することが萬世長楽の極意と説いています。

長楽を求めるには、現世をより知りつくす。
萬世長楽とは、メービウスの帯のようにつながっています。

苦楽も同根で、思考により両極をもちます。
しかるに、善悪の弁えた行いが、1帆風順して行きます。

草木が古くなれば、苦しみを生み 又 草木の枯草が薬として楽を生みます。

すなわち苦楽とは、自分と自分とつながりのある人、それを取り巻く人々、
ここに自然がつくり出す表裏一体の考えがあります。

初めから知識のある人などいない
人生を楽しむ努力が知恵である

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